「財務省と金融庁」何がどう違う!?

財務省金融庁の役割】

 

財務省」や「金融庁」という言葉を知っている人は多いと思いますが、何となくお金に関する業務をしているのだろうという想像はつくものの、具体的な業務内容を知らない人が多いのでは?  金融庁財務省と同じ組織と誤解し、それぞれの機関が行っている業務の違いがわからないという疑問を抱く場合が多いので、今回はその違いを確認しましょう。

【旧大蔵省の役割を分担してできた「金融庁」と「財務省」】

 

現在の「金融庁」と「財務省」が行っている業務は、もともと「大蔵省」という省が一手に握っていました。

 

それを、金融政策の立案や民間金融機関(銀行・証券会社)の監督、預金者や保険契約者、有価証券の投資者の保護など、日本の金融機能を安定させ、円滑に進めることを目的とした「金融庁」と、国の予算編成や、税制に関する制度の企画・立案、国債・地方債・貨幣の発行など一般市民の暮らしに関わる財政業務を行う「財務省」に分けたことが成り立ちとなっています。

 

大蔵省は金融機関と護送船団のもと、持ちつ持たれつの関係となっていることがあり、それによる様々な弊害や、金融政策にも不透明な部分が出ていました。

 

行政改革の一つとして、大蔵省の権限を弱めることを目的に、同省から金融検査・監督部門を分離・独立させ、98年6月に金融庁の前身でもある金融監督庁が発足し、金融政策における透明性を上げたのです。

金融庁は、銀行や証券会社などを利用している預金者や、保険に加入している保険契約者の利益を守るための組織でもあります。銀行業務や貸付企業の健全性などを検証したり、保険業法を元に保険商品を販売している企業に対して指導や監督を行っています。

 

ほかには証券市場の監視、監督も含まれています。投資者保護の観点から、不正行為などの犯罪を監視、調査する権限が与えられており、企業で行われるインサイダー取引や、上場企業の粉飾決済など、市場に悪影響を与え、投資家の信頼を損なうような不正がないかを監視します。

 

さらに、公認会計士への監査も金融庁が担っています。金融庁が実際に行っているのは、個人の公認会計士の監査ではなく、公認会計士になると必ず加入しなければならない日本公認会計士協会が対象になります。金融庁では協会がまとめた報告書を審査し、公認会計士が担当する企業に不正行為がないかなどを監視しています。

 

このように金融庁は、銀行や保険、投資など日本の金融に関わる個人の保護や、金融システムが安全に運営でき、日本経済が円滑に回るように、検査や監督などを行っています。直接私たち個人が関わりを持つことはありませんが、強い独立性を持つ大変重要な行政機関と言えます。

 

財務省は日本の「金庫番&経理担当」】

 

財務省は旧大蔵省の一部門が独立して誕生した省ということは前述の通りですが、具体的な業務は国の予算編成のほか、税制の企画と管理、国庫・国債の管理、貨幣の発行などがあります。

 

財務省内にある「国税庁」では、全国の国税局や税務署の取りまとめをしています。国税局や税務署の業務は、税金の相談に応じたり、税金を集めたり、税金が正しく納められているかを調べたりしています。ドラマや映画などで出てくる脱税を摘発する国税局査察部(通称「マルサ」)の国税庁も、財務省の一部です。

 

また国際的な経済協調や、国際通貨に関する業務も財務省が担当しています。世界の国々と調整・協力しながら為替レートの安定、貧困国への発展協力をします。

 

他にも輸出入時の貿易ルールや関税の管轄も行っています。貿易品に関税を課したり、密輸入を取り締まるのも財務省の管轄になります。

 

2000年の中央省庁改革の際に金融監督業務が金融庁の管轄業務となったことにより、財務省が単体で日本の景気や経済を左右するような政策決定をすることはありません。現在の財務省は国の予算がきちんと適材適所で使われているかどうかを管理する「国の予算の番人」としての役割がメインであり、国民の生活が安定するように、国のお金の使い方を日々チェックしている機関ということになります。